N4 Pharmaとの共同研究で、これまで到達できなかった人体内の細胞を標的にする治療を開発


標的治療の道を切り開くこの共同研究は、プレシジョンヘルスケアの可能性を最大限に引き出すことを目指す


専門製薬会社のN4 Pharmaは、がん治療やワクチン開発に寄与する新たなヌクレオチド送達システムNuvec®を開発しています。このN4 PharmaとSRIは、SRIが独自に開発したFOX Three分子誘導細胞標的化システム(MGS)(FOX Three Molecular Guidance System™)とNuvecを組み合わせる共同研究に向けて契約を締結しました。両社はこの組み合わせたテクノロジーを共同で上市することを目指しています。

両社は、特定の細胞への細胞内送達を高めることを目的として、SRIのMGSシステムとNuvecを統合させる研究を共同で実施します。N4 PharmaとSRIは、この統合させた技術を基にした、新たな事業の機会を開拓・追求していきます。

SRIのMGSテクノロジーは、高分子バイオ治療薬の細胞内送達が妨げられてしまうという障壁を克服するように設計されています。このシステムは、高分子のペイロード(治療標的に効く薬物)を標的細胞に送達し、さらにその細胞内の特定の場所への送達をも可能にする独自の技術を採用しています。

精密医療(プレシジョンメディシン)のターゲット

SRIのMGSは、機能性酵素や抗体、核酸(siRNA、ASO、DNAを含む)、リポソーム、ナノ粒子など12種を超えるペイロードを送達できること、また、これまでは到達できないことから、治療が不可能であるとされていた細胞内の分子標的部位に送達できることを実証しました。

「これは、治療の可能性を拡大するとともに、生物医学の展望を変える前途有望な旅の始まりを意味します」―Kathlynn Brown

N4 Pharmaのシリカナノ粒子Nuvecは不規則な表面構造をしており、siRNA、RNA、DNAをシンプルかつ効果的に捕捉・保護して細胞膜への送達ができます。いったん細胞内に入ると、このsiRNA、RNA、DNAは放出されて細胞の機構内に入り込み、タンパク質のサイレンシングや転写、またその他の免疫反応など、期待通りの経路反応をもたらします。

MGSとNuvecを組み合わせたこのテクノロジーは、特定の細胞を標的に出来る潜在力を秘めており、より効果的な治療を提供できるとともに、プレシジョンヘルスケアの可能性を最大限に引き出せます。

SRIのバイオサイエンス部門のプレジデントであるKathlynn Brownは、「N4 Pharmaと協力して核酸療法を前進させるとともに、SRIのFOX Threeプラットフォームとあわせて同社のNuvecナノ粒子テクノロジーの応用範囲を拡大できることを嬉しく思います」と述べています。

治療の可能性を広げる

ヌクレオチドが酵素によって分解されることを防ぎ、表面積が大きいため複数のカーゴ(治療薬など)を送達できるといったNuvecの主な特徴と、MGSが提供するターゲティング(治療薬が必要な細胞のみに届ける)を組み合わせれば、ヌクレオチド療法の活用が大幅に促進される可能性がある、とBrownは述べています。

「この戦略的パートナーシップは治療の可能性を拡大するとともに、生物医学の展望を変える前途有望な旅の始まりを意味します」とBrownは語りました。

N4 PharmaのNigel Theobald最高経営責任者(CEO)は、「SRIと協力できることを嬉しく思います。両社の技術をうまく組み合わせることができれば、腫瘍やワクチンの分野で大手製薬会社と協力することにつながり、新たな製品を開発する可能性が大いにあるのです」と述べています。


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