テクノロジーと穏やかな行動習慣が、どのようにして更年期の睡眠を落ち着かせるかを探求する
SRIのCenter for Health SciencesディレクターのFiona Bakerは、睡眠に関する研究の第一人者であり、特に女性の健康と更年期障害の分野を専門としています。ここでは、女性の健康や睡眠に関するテクノロジー、そして更年期の女性がどうしたらより良い休息をとれるのかについてのBakerの知見を紹介します。
Bakerの研究について
「私の研究対象は睡眠であり、それに関するあらゆることをについて研究しています。ここSRIには人の睡眠について研究するラボがあり、睡眠をより理解できるように無数の研究が行われています。私たちは、人々にとって有意義であり、かつそれぞれの生活に変化をもたらすような重要な疑問に応えようと日々努力しています。そして、女性の健康、特に中年世代という時期における睡眠障害の潜在的な原因を理解し、これに対して何ができるかを研究することに重点を置いています」。とBakerは述べています。
更年期の研究
Bakerは次のように述べています。「私は長年、若い女性の睡眠と月経周期の関連について研究してきました。多くの女性が、加齢や更年期を迎えるにつれて睡眠が妨げられると報告しているにもかかわらず、ほんの10年前までの研究では、睡眠を妨げる要因は何か、それに対して何ができるのかについての研究内容に矛盾が存在しており、また混乱もしていたという事実に衝撃を受けました。私はこれを不思議に思い、理解をより深めようと思ったのです。
そこで、更年期障害の特徴に注目するようにしたところ、ホルモンの変化に原因があること、そしてその変化はホットフラッシュ(ほてり)の出現を伴っていることがすぐにわかりました。
ホットフラッシュは昼夜を問わず出現し、睡眠不足を招くことが良くあります。私たちはホットフラッシュを測定しているのですが、ホットフラッシュと覚醒には非常に密接な関係があります。ホットフラッシュを感じると、約65~70%の人が目を覚ましてしまいます。これはおそらく、暑すぎたり寒すぎたりしているのだと思われます。そして眠りに戻るのが難しくなります。」
バーチャルリアリティと睡眠に関する問題の解決策
「私たちは、人々の生活に変化をもたらすような、意義のある課題に応えようと努力を続けています。そして、女性の健康という分野の中で、睡眠障害の潜在的な原因と、それに対して私たちができることに焦点を当てて研究しています。SRIはゴーグルを使った視覚的なバーチャルリアリティと、リラクゼーションに誘うシナリオの音声を組み合わせた装置を開発しており、ゆったりとしたペースの呼吸で、女性が眠る前に心身ともにリラックスするようにできないかと考えています。
このオーディオビジュアルによるリラクゼーション体験で、女性たちは自らが浜辺や森、また草原を歩いているところを想像することができます。この仮想現実の中を進むにつれ、ゆっくりと深い呼吸をするようになり、心が安らぐとともに、身体はリラックスした状態で眠りにつくことができるのです。これを実践したことにより、中年女性の睡眠障害が軽減され、翌朝の気分も良くなることが判明しました。
女性の健康はこれまでよりも注目を集めていますが、女性の健康と生活の質の向上に睡眠が果たす潜在的な役割についてなど、私たちが理解できていることにはまだ多くのギャップが存在しています。私たちは、更年期障害と女性の健康をめぐる研究と発見を推し進め、女性の生活に良い影響を与えられるよう、常に新しい方法を模索しています。」とBakerは述べています。