フォトニクスと集積回路の新技術に取り組む
Nicole Heidelは、SRIのAdvanced Technologies and Systems Division(先端技術・システム部門: ATSD)内の応用物理学ラボでフォトニクスと集積回路(Photonics and Integrated Circuits)を研究しているチームを率いています。このブログでは、HeidelのSRIにおける歩みと、自身が生み出した革新的なソリューションについて語ってくれました。
私は大学の時、1年生の時にふとしたきっかけで集積回路の授業を取ったときから、半導体に興味を持ちました。2012年にマサチューセッツ工科大学(MIT)で半導体デバイスとフォトニック集積回路の分野で博士号を取得し、その後、米国防高等研究計画局(DARPA)でコントラクターとして、複数のプログラムのスポンサーをしていたプログラムマネージャーの下で働いていました。このポジションでは、フォトニクスの分野で出来ることについて素晴らしい知見を得ることができました。また、DARPAとコントラクターがどのように協力して働いているかという内部事情も知ることができたので、SRIでのキャリアにも役立ってくれると思っています。
私は2016年にフォトニクスの分野にてSRIに入社しましたが、当時SRIはこの分野の専門性を高めていたところでした。SRIがATSDでエキサイティングな研究をしていることを知っていましたので、私はSRIの本社があるシリコンバレーにワシントンD.C.から引っ越すつもりでいました。ですが、入社を承諾した直後に諸事情にて、ワシントンD.Cから動けなくなってしまったのです。マネージャーのJesse Wodinは、私がD.C.に留まることを全面的に支援してくれました。このように図らってくれたマネージャーのサポート、そしてSRIのサポートに本当に感謝しています。SRIのワシントンD.C.オフィスにはごく少数のエンジニアしかいませんでしたが、私は電話会議でチームに参加していました。
私はいくつかの難しいプロジェクトに取り組んでおり、それらは全てフォトニクスとレーザーに関連しています。私がSRIに魅力を感じるのは、これらのプロジェクトがエキサイティングでやりがいがあり、他と協力して取り組めるところです。私が最初に手掛けたのは分散型レーダーシステム、ナビゲーション、精密なタイミングと同期に関するものでした。また、幸いにも、マイクロ波フォトニクスに関する研究にもSRIの社内研究開発(IRAD)プロジェクトとして社内から資金を提供してもらうことができました。
SRIには全米各地に様々な機材備えたオフィスがあり、専門知識を有した同僚が居るので、パンデミックの前からデジタルを使ったコラボレーションが可能でした。何千マイルも離れていても、一緒に仕事ができるのは素晴らしいことです。オンラインで仕事ができ、専門知識の共有もできることから、2021年に夫がマサチューセッツ州で仕事をすることになった時に私も一緒に引っ越すことができました。その時も私はまたJesseに電話して、「引っ越さなければならないのだけどSRIを辞めたくない」と伝えたところ、Jesseは全面的にサポートしてくれました。私は、自らが手掛けている仕事と、カリフォルニア州メンローパーク、ニュージャージー州プリンストン、コロラド州ボルダーの各オフィスで構成される優秀なチームが大好きだったのです。
そこで、マサチューセッツ州というリモート環境を「メリット」に変えるにはどうしたらいいかと考えることにしました。これはユニークな課題でしたが、私は意欲にあふれていました。MITで学んでいたことから、再び学内の人たちや地域の卒業生との関係を築くことができましたし、世界でも有数の研究室を使用できたことはここで成功できた貴重な要因です。MITのあるマサチューセッツ州ボストンは今、フォトニクスにとってまたとない場所となっており、やることが山のようにあります。もし興味があるのならば、是非ボストンに来てこの分野の未来の一翼を担ってほしいと思います。
この小さなチップに搭載されたフォトニック集積回路で、私たちは驚くようなことを実施しています。これを実現するために、私たちはATSD内での研究、そしてATSD外では共同研究を行っています。プリンストンの同僚とは量子・原子系を、アナーバーやメンローパークのメンバーとは光信号処理を研究しています。最近では、バイオサイエンス部門と共同で、全く新しいプラットフォームであるSRIの「導波管増強ラマン分光法 (Waveguide Enhanced Raman Spectroscopy)」を開発しました。この技術に取り組んでいるのは世界でも数社しかなく、私たちにとって刺激を与えてくれています。ラマン分光法は、チップ上にある物質の化学結合と光の相互作用をベースにしていることからバイオサイエンスチームの協力なしには実現できませんでした。
SRIでは、楽しいことをいくらでもできます。アイデアがあったり、何か新しいことに挑戦したりしたいと思ったら、ここがまさに実践する場所です。私のチームはとてもスマートで才能にあふれています。まさに、「こんな新しいものは作れるかな?これ何らかの方法で測定できないかな?」と言っており、皆がこのような発想を受け入れてくれます。私たちのラボや部署だけでなく、SRIの研究所全体が柔軟で且つサポートが行き届いているのだと思います。