職場やプライベートで成功するために、Allyship (アライシップ) を理解して実践する
Allyship(アライシップ)とは、話を聞く相手によってその意味がそれぞれ異なるかもしれないことを意味します。ある人にとっては、影響力の弱い人たちにも居場所があって声があげられるように、マイクロアグレッション(小さな攻撃性)や潜在的バイアスが発生しないように介入することを意味するかもしれません。また別の人にとっては、有色人種や女性、その他過小評価グループに不均衡をもたらす不公平に対して、率先して発言することで意識を高め、周りにこの不平等をなくすよう行動を起こす動機付けとなることを意味すると思う人もいます。また、アライシップとは、メンターやコーチ、スポンサーという立場において、何らかのリクエストがあったときにその都度サポートを提供することだと考える人もいます。このように視点が異なると、どちらの視点が正しいかの議論になってしまい、行動に結びつかなくなったり、対立が生じたりしてしまいます。
「これは何なのでしょう?何をすればいいのでしょう?適切な方法はどのようなものなのでしょう?」という問いかけに対して、私たちは完璧に測定できるアプローチを作成しようとするのですが、それでも支援を必要としている人が取り残されてしまう傾向が多く見受けられます。
確かに、アライシップとは何かということを頭で理解することは重要です。しかし、私はAlly (アライ: 味方) として活動するにあたり、確立した単一の定義や方法があるとは思いません。また、アライシップの専門家である必要もなく、参加するにあたって全てを理解しなければならないと思う必要もないと思っています。重要なのは、私たち全員がアライシップへの道を一歩踏み出すことです。そして、その一歩を踏み出した後に、自らの立ち位置がどのように変化したかを確認して「今、私たちはどの立ち位置にいるのだろうか」と問いかけることが大切なのです。「私たちの一歩は、思った通りの影響を与えられたのか?この一歩を踏み出す前には見えなかったものが、今は見えているのか?」そして、必要に応じてアプローチを調整しながら、この旅路を進んでいくことができるのです。
キャリア開発を支援するAlly(アライ:味方)になる
私自身の人生でも、このアプローチが役に立ったことがあります。当時、私は人事の仕事を始めて10年目に差し掛かっていましたが、行き詰まりを感じていました。同僚と比べても同レベルの才能があり、自らの職務で素晴らしい成果をあげていると思っていました。しかし、他の人と同じような評価を得られておらず、昇進もできていなかったのです。私はこの現実の打開に、どこから手をつけていいかわからなくなっており、当時のメンターに自らのパフォーマンスに対する率直な意見を求めました。
メンターは私にこう言ったのです。「Ty、あなたが何をしているのか、あなたが組織にどのような影響を与えているのかが、然るべき人たちに伝わっていないのです。つまり、重要なビジネスミーティングで意思決定者の前であなたを推してくれる人を見つける必要があるのですよ」。話の最後に、メンターは私のことを見ているし、信じていると締めくくり、その場を後にしました。
それから1カ月後、注目度の高いプロジェクトのサポートや、重要なトレーニングやディスカッションの進行役を依頼するメールや電話がかかってくるようになったのです。
もちろん、私はこれらのチャンスを嬉しく思い対応していましたが、当初はこの展開について1カ月前にメンターと話した内容と結びつけてはいませんでした。しかし、同僚が直近のハイレベルの会議で私の名前がよくあがっていると教えてくれたときに、初めてあのメンターが「私のAlly (アライ: 味方) 」になってくれていたことに気づきました。このメンターは、有意義な方法で私を擁護することで、私の成長と発展を支援してくれたのです。私のAllyが一歩を踏み出してくれたことで、私の昇進やキャリアアップの連鎖が始まったのです。
アライシップの恩送り
私はこれによって、アライシップがどれだけ影響力を持つかを理解したことから、他の人のAllyとなって恩送りしたいと思うようになりました。
すべては、私のメンターが一歩を踏み出して、本人が正しいと信じて行動を起こしたことから始まりました。このサポートがあったことで、私はエキサイティングなチャンスに満ちた、非常に楽しいキャリアを過ごすことにつながったのです。
アライシップは今後もさまざまな形で実践されていくことでしょう。大切なのは、他者を支援するための第一歩を踏み出す勇気なのです。
アライシップの始め方をいくつかご紹介します
• 従業員リソースグループ(Employee Resource Group)を立ち上げる、もしくはグループに参加して同僚とつながり、理解を深める
• 職場やプライベートでメンターやコーチの役割ができる機会を探る
• ボランティア活動を通じて他者を支援し、地域社会に貢献する
そして、次のことを忘れないでください
• まずは人であること — 共感をもってリードし、付き合いを深め、変化にオープンであること
• 不快であることを不快に思わないようになる — 間違ったことをいうことを恐れるあまり、挑戦することを躊躇しないようにすること
• 常に寛大であること — いつか必要となる日に備え、自分自身にも寛大になること
皆さん、すぐにでも行動を起こしてインパクトを与えましょう!
アライシップ(Allyship)について、より詳しい情報はこちらをクリックしてご覧ください。
筆者: Ty Scott, Sr. HR Business Partner and Diversity Equity & Inclusion Program Manager
参考資料: