オペレーターがロボットアームを細かくコントロールすることで、環境を損なうことなく遠隔で修理や調整が可能
医薬品を製造するクリーンルームは、最終製品の安全性や有効性に影響を及ぼす恐れのある微生物や生体分子などあらゆるものによる汚染リスクを最小限にするよう設計されています。このようなクリーンルームは精密に管理されていますが、修理やメンテナンスなど自動化するには費用がかかる作業のために人が部屋に入ると、清潔環境を乱す可能性があります。
SRIのXRGoロボット遠隔操作ソフトウェアは、このような作業を離れた場所から人が行えるようにすることで、医薬品を汚染から守ることができます。XRGoは例えば、ずれた試験管を調整したり、定期的なメンテナンスを実施するために、オペレーターがクリーンルームに入ることなく、ロボットアームの動きを遠隔操作できるようします。
SRIの事業開発担当バイスプレジデントであるBill Rusitzkyは、「プロセスを自動化しても、人が監視すること、また時には人が介入することが必要です。これらをクリーンルームの外から行えれば、医薬品を汚染の危険にさらしたり、場合によっては廃棄したりすることを避けられます。人と医薬品が接触することを可能な限り排除したいと考えています」と述べています。
XRGoには、ロボットに代行させたいようなリスクの高い状況で多くの可能性が拓けています。
そして、環境が危険になるほど、利用価値が高まります。
遠隔操作は、人が危険を伴う製品と接触する可能性がある状況において、人々を守ることに役立ちます。「さまざまな状況において人の接触を排除することは非常に重要ですが、このテクノロジーには、それに加えて身体的に直接作業ができない人々に仕事をする道を拓くという利点があります。私たちと協力している製薬会社は、これが業界にとって必要なことであると認めており、XRGoの可能性に大いに期待を寄せています」とRusitzkyは述べています。
XRGoを使うためのトレーニングは最小限で済み、使い方はスマートです。このソフトウェアは、オペレーターのヘッドセットに三次元の立体映像をライブストリーミングします。このインターフェースでは、オペレーターが複数のビューを切り替えること、アームの向きの三次元モデルを作成すること、そして修理マニュアルなどの情報にアクセスすることができます。ロボットアームの動きは、手に持ったコントローラーの動きとシームレスにリンクしており、オペレーターに触覚的なフィードバックを返します。これにより、無菌環境で作業すると評価されている既存のロボットアームと問題なくペアリングし、かつ、誰でも簡単に習得できるシステムが完成したのです。
「私たちは医薬品製造の清潔エリアで人との接触を最小限にとどめられる遠隔操作ソリューションを探してきました。SRIのXRGoソフトウェアに出会い、製薬業界で使用しているロボットとの互換性が実証され、技術的にもすぐ活用できる、これまでにない素晴らしいシステムを見つけることができました」と、バイエル薬品と他の数社との共同研究ベンチャー、INVITEの未来製造コンセプト部門責任者(ヘッド)であるCharly Coulon氏は述べています。SRIはINVITEと戦略的パートナーシップを締結しており、製薬業界での遠隔操作の活用を加速させています。
XRGoは現在、製薬会社のラボでさまざまな使用例をテストするために購入することができます。SRIは食品加工やあらゆる種類のクリーンルーム、爆弾処理、危険な産業環境、エネルギー部門の高リスク状況におけるメンテナンスなど、XRGoのさらなる用途を追求しています。「XRGoは、海底油田での遠隔修理作業や、人に代わってロボットに作業をさせたいようなハイリスクな状況などで、多くの可能性が拓けています。環境が危険になるほど、XRGoの有用性は高まるでしょう」とRusitzkyは述べています。
設定し、運用するには
SRIの遠隔操作ソフトウェアは、サードパーティーのロボットアームと統合され、製薬会社が多くの活用事例や概念実証のテストができるようになっています。遠隔操作を必要とする大きな課題を抱え、SRIのシステムがその解決にどのように役立つかについてなど、XRGoの詳細についてのお問い合わせはこちら (https://www.sri.com/contact/#contact_page_contact_form) までご連絡ください。