SRIの睡眠研究の専門家Fiona Bakerが更年期の不眠症について語る


睡眠と女性の心身の健康に更年期がどのような影響を及ぼすのかを研究


更年期は女性の人生において大きな過渡期であり、身体的にも感情面でも変化を伴うことが多いです。そして、最も一般的かつ困難な症状のひとつに不眠症があげられます。このQ&Aでは、SRIのCenter for Health SciencesおよびHuman Sleep Research ProgramのディレクターであるFiona Bakerが、更年期の不眠症の背後にあるメカニズムや有病率、そして効果的な管理戦略について詳細に説明しています。Bakerは女性の睡眠の健康を理解することを強く訴えており、更年期にかかわるものも含めた女性の睡眠に関する問題について幅広い論文を発表しています。

更年期の不眠症は体内の何が原因なのでしょうか?

更年期の頃に不眠症になるのは、睡眠を妨げるような頻繁かつ激しいホットフラッシュ(ほてり)や寝汗、ホルモンの変化、不眠症と密接な関係がある抑鬱症状や気分の変化、ストレスなど、さまざまな理由が考えられています。

更年期の女性に不眠症はよくみられるのでしょうか?更年期の前半(閉経までの数年間)の女性はどうでしょうか?

不眠症は更年期前半の女性に非常に多く、約40~50%の女性にみられ、閉経してもこの症状は継続します。最も多い主訴は、夜中に目が覚めてしまいなかなか寝付けないということです。中年期の女性の約26%に臨床上の不眠症の基準を満たすような、頻繁かつ持続的、そして生活の質(QOL)に影響が及ぶ症状がみられます。外科的な手術によって生理が止まる女性にも不眠症はよくみられます。

「不眠症を取り巻く治療の選択肢は増えています。」―Fiona Baker

更年期を過ぎると、不眠症は治る傾向にあるのでしょうか?それとも、抜けだすことは難しいのでしょうか?

閉経後の不眠症状は徐々に減る傾向があり、多少の改善は見られるでしょうが、症状が完全になくなるわけではありません。閉経した後の女性を見ると、様々な症状のパターンが見受けられます。ホットフラッシュのような不眠症以外の更年期にまつわる症状は、中央値で約7年間継続する可能性もあるため、睡眠を妨げるようなホットフラッシュに悩まされている女性は、閉経後もこれが数年続く可能性があると理解しておくことが重要です。

更年期の不眠症になりやすい女性の要因となる因子は何かわかっているのでしょうか?

更年期の不眠症になる人とならない人を予測することはまだできないのですが、危険因子のいくつかはわかっています。すでに睡眠に対して課題を抱えている女性は、更年期に入ると、この問題が続いたり、悪化したりする可能性が高いです。そのため、不眠症に対して早い段階で対応し、健康的な睡眠を手に入れられるよう、不眠症の治療について医療機関に相談することが重要です。時期が早い方が、問題の解決が容易になります。

更年期の前半や閉経を迎えた時期に不眠を経験する女性へのアドバイスは何かあるでしょうか?

できることはあります、諦めないで!不眠症を取り巻く治療の選択肢は増えています。薬による治療もできますし、薬に頼らない治療もあります。睡眠に関する問題は、いくつかの病状(慢性疼痛など)や、閉経後の女性で有病率が高まる睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害と関連して発生することもあります。

睡眠の問題は医療機関に相談してください。―健康を保つにあたり、睡眠は重要な柱なのです!

Bakerの述べた内容に関する詳しい情報は、こちらの動画をご覧ください。睡眠ラボの詳細については、こちらをご覧いただくか、SRIへご連絡ください


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